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2023.12.17
第48回「神の君へ」最終回感想

いろいろ書きたいことがありますが、まずは大坂の陣から。
豊臣家の最期・・素晴らしかった。。
豊臣秀頼として死にたい、この首を土産に生き延びて下され・・
最後の最期まで素晴らしい青年として描かれた秀頼さま。
千姫が秀頼を生かしたい理由が、家康にとって秀頼を生かしてはおけない理由になっていて、千姫役の原菜乃華さんの熱演も相まって胸が苦しかったです。
ここまでしっかりと秀頼さまの最期を描いた大河はなかったのでは。
次々と後を追う家臣たち。
凄まじく熱のあるシーンで心に残っています。

そして圧巻の茶々!
「日ノ本か。つまらぬ国になるであろう。正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ、人目ばかりを気にし、陰でのみ妬み、あざける。優しくて、卑屈なか弱き者たちの国。己の夢と野心のために、なりふり構わず力のみを信じて戦い抜く!かつて、この国の荒れ野を駆け巡った者たちは、もう現れぬ。」
現代への痛烈なメッセージ。
いや、、もう、北川景子さんMVPではないでしょうか。
今までの可憐なお姫様役も似合うけれど、凛々しいお市様、禍々しく強く恐ろしい茶々の二役を演じ切り毎回話題となったのは、間違いなく北川景子さんのお力で、大河史に残る怪演だったと思います。
炎の中で笑い自刃する茶々。
完全に本能寺の信長様のイメージでした。
織田のカリスマ性、気高さを纏い、誇り高き壮絶な最期。
でも最後に一言だけ、本来の茶々に戻りましたね!
お母さんに少し甘えたような少女のような。
よく頑張ったねと声をかけてあげたい、一人の女性の姿がそこにはありました。
北川景子さん、ありがとうございます。
素晴らしかったです。

真田信繁(幸村)による突撃も描かれた!
馬防柵を倒しましたね!
長篠の戦いのとき、武田軍はただ鉄砲に突撃していたわけではなく、織田の馬防柵を何段も倒して、本陣に迫った部隊もあったんですよ。
それを信繁が最期に見せてくれた!
武田のDNAは井伊の赤備えに受け継がれましたが、真田にももちろんきっちり受け継がれてるよね!
ちょっと感動しました。

紀行で紹介された家康辞世の句
「嬉やと 再び醒めて 一眠り 浮世の夢は 暁の空」 

こちらを元にこの最終回を書いたのかなと感じました。
句のような嬉しい夢を見た殿。
いえ、夢ではなく亡くなる前の走馬灯ですよね。
若い姿なのに老人の動きになったり、現実と幻が入り交じる不思議な空間。
神でも狸でもない、自分のことを【人】と知っている大切な人たち、あぁみんなここにいたんだな。

望まないことばかりをやる人生を送ってきた。
人を殺してばかり。
でも、子どもたちが鎧を着ないでいい時代を作れた。
ちょっ・・泣く、これは泣きます(;;)
そうだよね、戦が嫌いな殿が、戦なき世を作るために戦し続ける人生。
その先にあったのは、、次世代のものたちが戦をしなくていい平和な時代。
暁の空。
夢見た平和の向こうに、浮かんでいましたね、現代の東京が。
ありがとうと伝えたいな。

すべてを手にしたはずなのに、みんな自分を畏れて広い部屋にひとりぼっち。
大事な家臣たちに囲まれて笑っていたあの頃。
家康が一番幸せだった時なんでしょう。
幸せな思い出に包まれながら逝けたと信じます。

ちなみにこの家臣が鯉を食べちゃった!というエピソード、史実です笑
「鯉と家臣とどっちが大事なのか!」と殿はその食べちゃった本人(鈴木久三郎)に言われ、謝ったという史実です!
すごいですよね。
徳川家臣団の関係性を表す特徴的で素敵なエピソードだなと思います。
その方は、三方ヶ原の戦いの折、夏目広次とともに家康の身代わりとなり、なんと生還しています!
す!ご!い!

でね!この鯉の話関連なんですが、私このブログで
「信康と五徳がいつの間にか結婚してる!徳川と織田の同盟の最重要事項だしちゃんと描いて欲しかった!」って書いたんですが、まさか!最終回で描かれるとは!
これ第13回で4月ですよ!?
なんというロングパス・・このシーン、どれだけ前に撮ってたの!?
俳優さんですごい、、改めて思いました。

「本当のところはどんなやつだったか分かりゃあしねぇ」
【神の君・徳川家康】をつくった天海僧正のセリフ。
大河ドラマにするなら創作はいらない!史実しか認めん!と言っている人たちに、なかなかブラックなメッセージ。
演じるのが小栗旬さんというのもくすりと笑ってしまいました。
さりげなく出てきた「源氏物語」と「吾妻鏡」の前年来年へのエールもいいですね!

そうです、私たちが知っている【徳川家康】のイメージは、この天海が作り上げたもの。
「どうする家康」では、徳川家康を徹底的に【人】として描いたことで、ほぼ固まっていた家康像に新たなイメージができ、それがとても大きな功績なのではと思います!
松本潤さんが泣き虫弱虫、でも困難に立ち向かう勇気を持っている、人間味あふれる家康を演じてくれたことで、【神君家康】から【人間家康】へ、歴史上の伝説の人物から本当にいた親しみある人物へ、と、現代の私たちと徳川家康の距離が縮まったのではないでしょうか。
歴史の授業には出てこない様々なドラマを見て、教科書やゲームの中だけに生きているんじゃない、約450年前に悩める青年として実際に生きていた、ということを容易に想像できるようになったのでは!
「どうする家康」を通じて、歴史が身近に感じられた人が増えたら、大河ドラマファンとしてこの上なく嬉しいです。

最後になりましたが、「どうする家康」を1年間一緒に見続けた方々、お疲れ様でした!
大河ドラマってやっぱりおもしろいですよね!
そして大河ドラマ「どうする家康」感想ブログを読んでくださってありがとうございました。
総集編が12/29(金)13:05~から4章に区切り、4時間続けて放送されます。
あなたの好きなシーンは出てくるかな?
まだまだ楽しみは続きますよ〜!
最後まで楽しみましょうね!
それでは、ありがとうございました!

2023.12.11
第47回「乱世の亡霊」感想

北川景子さんの表情の演技、圧巻でした。
女優さんってこんなに顔が変わるもの?
険しい顔で家康からの手紙を読み、「母君として秀吉公を生かそう」のところ、眉間の深いシワが徐々になくなり、まるでお市様のような美しいお顔に・・!
かつて茶々の憧れの君だった家康。
これ分かります。
母から繰り返し聞かされ、自分の中で想像が大きくなり、勝手に理想の男性としてイメージが神格化してしまう。
お市が語る若かりし頃の家康は、あのヤンキー集団のような織田家の中で、それは爽やかでおだやかで素敵だったのでしょう。

そこから裏切られたという落差。
イメージと違う!というだけではなく、本当に助けに来てくれなかった。
そして母は死んだ。
この家康を倒すことが生きる目的といっても過言ではなかった気がします。

しかし、殿からの手紙を読み、憑き物が落ちたように秀頼に語りかけるも・・
今回の副題・乱世の亡霊とは茶々ではなく、秀頼さまだったのですね。
その秀頼の決断に動揺するも、受け入れ微笑む茶々。
「共に乱世の夢を見ようぞ!」
これは自分が引き寄せた結果。
覚悟を決めた表情は、それまでのオニババ(北川景子さんすみません!)の表情ではなく、凛々しく美しい茶々さまでした。
・・でも待って秀頼さま!
「信長と秀吉の血を引く者」と言ったけれど、あなたに信長の血は流れてないよ!
あのスパルタだった信長パパの血は流れてるけど、あなたはどっちかって言ったら、浅井長政の血!
織田家に反旗を翻した浅井の血、それを滅ぼした織田の血、さらに織田の天下をうまく奪い取った豊臣の血。
凄まじきサラブレッドなのですよね。
その秀頼が戦わずして終わるのか。
たしかに、これ私が秀頼さまでも、戦場にて戦いたいと思うかも。
負けたらどう、とかの理屈ではなく、生まれるのが遅すぎたということで、ただ単に乱世を経験したかったのかも。。
血筋も最強の城も財力も兵力もある。
カリスマ性もある、戦う理由がある。
こんな条件が揃っていて、まだハタチそこそこの血気盛んな若者が引く理由ってないのかもしれませんね。
秀頼23歳(満21歳)でした。

千姫に拒絶されたお江。
自分に大砲打ち込んできた徳川と、身を呈して守ってくれた茶々。
これは許すとか許さないというより、徳川は敵としか思えない。
大事な孫娘が最悪死んでしまっても、すべての恨みを自分のせいにして、ひたすら乱世を終わらせるために家康はやったんですよね。
分かっていても辛い場面でした。

「どうする家康」の終盤、毎回毎回心を打つ素晴らしい回が続いて、見ていて苦しくなります。
殿を早く楽にしてあげたい気持ちもあり、でもドラマは終わらないで欲しい気持ちがどちらもあります。
乱世に散っていったすべての人の鎮魂のために、徳川家康が最後の戦をし、平和の礎をつくる。
乱世をあの世に連れて行く。
「滅びる覚悟」松本潤家康さまどうか報われて欲しい。
次回ついに最終回です。
みんなで見届けましょう。

最後にどうしても書きたい!!
塙団右衛門見つけましたか!?
もし小手さんだったらどうしようかと思った笑
大河ドラマ「真田丸」で団右衛門役でしたよね。
「どうする家康」では大久保忠世にぃ!
真田丸で名刺(木札)配ってたけど、今回も秀頼さまの後ろにしっかり「塙団右衛門」の旗が写り込んでた!
さすがです!!笑

2023.12.05
第46回「大坂の陣」感想

とてもいい回だった。。
関ヶ原から大坂の陣まで14年。
まず、この間の14年間に大きな戦が起きていないのがすごいのです。
戦乱が延々と続いていた室町後期〜関ヶ原の戦いの約100年。
戦がないということは、手柄が立てられず武士は禄を得られない。
仕事がない、上手くいかない不安、それを世の中のせいにしたくなる気持ちは、現代の私たちも分かりますよね。
大阪城に集まった浪人というのはそういう人たちです。
その数およそ10万!
いかに世の中が戦ありきの仕組みだったかが理解できます。

明治維新でも似たようなことが起こります。
武士という特権を排除され、全国で相次いで起こる不平士族の反乱。
それが集結し、大きな反乱軍となってしまった西郷隆盛軍。
旧時代の亡霊は、敗者とともに消え去る・・
250年後に同じようなことが起こる、しかも徳川の時代の始まりと終わりに、というのが皮肉ですね。

豊臣からしたら、秀頼が成長するまでの14年間。
徳川からしたら、すでに名実共に天下を動かしていた14年間。
今さら返す、返さないというのもお門違いというもの。
圧倒的な武力を見せつけ、豊臣が膝まづいてくれればそれで良かった。
家康には豊臣を滅ぼすつもりはなかったように思えます。
ただ、ここまで生きていたのは“豊臣家を何とかする”という執念に感じます。
本多正信もね。
本多正信と渡辺守綱、殿に弓引いた2人が最後まで殿の傍にいて守っているというのが良い。
これも殿が人を信じて許したからなんだよね・・巡り巡る。

大筒を本丸に撃ち込む家康。
それを見て、「これが戦ですか」と涙を流し止めに入る秀忠。
これ、長篠の戦いのときの家康と信康だ。
あのとき、「父上、これが戦ですか?(これはなぶり殺しだ。)」と信康に問われた答えが出たのですね。
長い家康の戦人生の答えが、戦とは「この世で最も愚かで、醜い、人の所業じゃ」なのですね。
これがこの大河ドラマできっと言いたかったこと。
それを経て、時代に学んだはずの今現在はどうなっているのか?同じじゃないのか?
このときの松潤殿のお顔!
怒りや悲しみ、苦しみ切なさ後悔、、戦によって感じているすべての感情が滲み出てる!!
す、すごいです。
松潤、老年になってからの演技がとてもいい!

秀忠を総大将にせず、自分1人ですべてを背負おうとしているのは、秀忠以下次世代のものたちには平和な世を生きて欲しいから。
長篠の合戦の折、武田兵が鉄砲により次々に倒れていくのを、新しき世の戦と表現した信長、「銭持っとるもんが勝つんだわ」と笑っていた秀吉。
呆然として泣いていた家康。
ここに人間性が表現されている気がしますね。

大河ドラマ「真田丸」での大坂冬の陣、真田丸がついに出現し、ここでの戦いにあれほど胸躍ったのに、「どうする家康」ではなぜか虚しい・・
殿が大筒(大砲)を使う決断を下す理由だったから。
徳川は豊臣方を包囲して、有利な条件の講和を結ぶだけで良かったんですよね。
豊臣が徳川の下についてくれれば。
なのに、真田丸が戦果を挙げたことにより、そこでの死傷者数を聞き、一気に片を付ける最終手段に出たんです。
局地的な勝利が、結果として豊臣を滅亡に導いてしまった。
真田信繁は大局が見えてなかったということになるのでしょうか。
真田LOVEな私なのでそうは思いたくないですが、視点や立場を変えるだけでこんなに正義が悪になるとは。
難しい、、歴史って難しい。

茶々の近くに大砲が被弾し、侍女数名が即死、という史実の映像化がありましたが、茶々の近くということは千姫の近くということで、とてもリアリティがありました。
ここで咄嗟に千姫をかばった茶々。
「どうする家康」では茶々は一貫して精神の歪んだ野心ある悪女として描かれてきましたが、ここで本来の茶々が顔を見せました。
茶々はすでに2度落城を経験し、妹2人以外の家族が全員亡くなったり殺されています。
家族を死なせたくない、家族を守りたい、これが彼女の根底にあるように思います。
震えていた千姫の姿に、かつての自分たちの姿を重ねたのかも。
本当はずっと誰かに助けて欲しかった。
でも助けに来てくれると母が最後まで信じていた家康は来なかった。
ならば自分が強くなるしかない。
そんな茶々の人生が垣間見えたシーンに泣きそうになりました。

殿が鉛筆を使っていましたね!
この徳川家康の鉛筆、現存する最古の鉛筆です!
静岡県の久能山東照宮博物館で見ることができますよ!
見たとき、本当に感動したな〜
こちら、さすが家康のお墓がある久能山東照宮の博物館だけあって、家康愛用の品がたーくさん!
家康が身に着けた・使用していた・見ていた、など歴史を感じられる文化財が多数!
教科書の中だけではない、徳川家康は本当に生きていたんだと実感でき、歴史上の人物が一気に身近になりますよ!

2023.11.27
第45回「二人のプリンス」感想

今川氏真さま登場!
今までのドラマで、晩年の氏真さまが登場したことあったでしょうか?
「弟よ‥弱音を吐きたいときはこの兄がすべてを聞いてやる。そのために来た。」
ここまで大きくなってしまった家康が、涙を流して弱音を吐いている‥!
戦は嫌いなのに、生涯ずっと戦をし続けている殿。
戦なき世・平和な世にするためと、自分の幸せを捨てたような殿。
戦の世に生きる宿命を抱え、苦しみながら生きる家康と、その苦しみを深く理解し、抱きしめてあげる氏真。
素晴らしいシーンに涙が‥(泣)
偉大な父・今川義元がいて、兄のような氏真がいて、桶狭間がなければきっと氏真配下として一生を生きていただろう家康。
立場が逆転して、今や権力のトップにいるのに、氏真の生き方を「羨ましい」と。
「平気で人を殺せるようになっただけじゃ」と暗い表情の殿を見ると、本能寺直前、覇道に苦しんでいた信長様を思い出します。
何が正解で何が幸せか、分からなくなりますね。
偉くなりたかった秀吉は、晩年は幸せだったのかな?

今回の副題は「二人のプリンス」。
これはもちろん豊臣秀頼と徳川秀忠でしょうが、かつて今川のプリンスだった氏真と、弱虫泣き虫だった殿の2人もきっと指しているタイトル。
プリンスだった2人も老齢になり、人質を取ったりいがみ合っていた時期もあったけれど、こんな関係性を築けているというエモさ。
「あの頃のほうが人に好かれていた」
松潤そんな寂しいセリフ言わないで・・涙

かつて太守様から教えられた「王道と覇道」の教え。
第一回では自分が聞かれて答えていましたよね。
それを今度は我が子(徳川秀忠)に聞き、受け継がせる。
昔のシーンとリンクして、家康自身の成長に、そして秀忠の何かを受け取った表情に胸が熱くなりました!
長い長いパス、こういうのがあるから大河ドラマはやめられないんですよねっ!

そしてついにきた・・最終決戦。
京都・方広寺に現存する「国家安康」「君臣豊楽」の銘が刻まれた鐘。
今までは徳川の言いがかり説が有力でしたが(私もこっちで習った!)、今は豊臣の意図的な悪意、という説が言われています。
「どうする家康」では、茶々が徳川に戦を仕掛けさせるためにあえて仕組んだ、というストーリーに!秀頼さまも、「涼やかで様子のいい秀吉」と、秀吉譲りの策士として描いているのも新しくていいですね!
大阪の陣は茶々の壮大な復讐劇なのですね。
「面白い、面白いの~。ついに戦か!」
怖くて美しくて、茶々様から目が離せません!

2023.11.20
第44回「徳川幕府誕生」感想

まずオープニングから。
あれ?最後の形態だと聞いていたけど、またオープニング変わったんだ~と思って観ていたのですが、これ一夜限りなんですね!
すごく良かった!
2匹の兎が遊び、黒い山々が来て赤色・・これ信長時代?かな。
円がシミのように広がって、モヤの中にたくさんの旗指物。
たくさんのカラーが印象的なのは関ヶ原かな。
少し寂しげにも聞こえるピアノソロの旋律が静かに、落ち着いていて、今までのが高揚感湧き上がる演奏だとしたら、今夜のはしっとり懐かしむような音色・・
今までのオープニング曲は、たくさんの楽器が奏でるオーケストラ演奏で、まさに個性豊かな徳川家臣団の調べ。
ピアノソロの調べは、長く仕えていた家臣がどんどん亡くなり、1人になった家康を感じました。
でもね、すごく静かできれいなの。
波乱万丈な人生だけど、みんなとこれまで作り上げてきたものがあるから、1人でもしっかり奏でていくよ、そんな風にも聞こえました。
桜舞う富士山にあっぱれ!という声が聞こえてきそうな美しいタイトルバックでした。
一夜限りなんてほんと贅沢!

オープニングだけでこんなに書いてしまった笑
本編のこと書きたい!
今回、めちゃくちゃ良かった・・!
わたし的神回は、石川数正が出奔~数正のせいじゃー!のところです。
話数でいうと、殿が「天下を取ることを諦めてもよいか」と家臣たちに呼びかけた第34回の「豊臣の花嫁」かな。
・・なのですが、今回が一番好きかも!
ボジョレヌーボーの、” 最高傑作だった去年よりさらに美味い‼ ”的な表現になってしまった笑

月日の流れを伸びる背丈を刻む柱で表現。
どんどん成長する豊臣秀頼と、老い亡くなっていく歴戦の徳川家臣たち。
太閤秀吉を抜かし、ついに大人となった秀頼。
ただね、「どうする家康」の秀頼様、なにか黒いオーラが漂ってる!
同じ大河ドラマ「真田丸」の秀頼様は中川大志くんが演じて、初登場時、気品や佇まいからびっくりなほどの圧倒的なプリンス感を感じたのです。
音楽や後光も相まって、今年の秀頼様はいける!と湧き上がったなー!
「どうする家康」豊臣秀頼役の作間龍斗くんもプリンスオーラは非常にあるのですが、なんだろう、裏の裏を考えていそうというか、あの茶々に育てられたんだから歪んでないとおかしくないというか・・
家康が退席したあとの、「あの狸を信用するでないぞ」。
距離の詰め方怖かった・・

徳川家康は健康に長生きしますが、それは親しい人を誰よりも見送ってきたということです。
長生きしたから天下が取れたので、もちろん良いことですが、自分より年下の家族や家臣が先に亡くなるのは辛かったでしょう。
関ヶ原の銃傷が元で井伊直政は2年後に亡くなりました。
直政は鬼武者のイメージが強いですが文官としても有能で、関ヶ原の戦後処理のため動き回って、ちゃんと療養をしなかったと言われています。
まだ若いのに残念ですが、忠勝の「あいつはうまくやった」というセリフもあったように、武士は戦場で死にたいという気持ちが大きかったのかもしれませんね。
関ヶ原の傷が元で・・は当時の価値観でいうと名誉なことなんですもんね。

同じく徳川四天王、本多忠勝と榊原康政も殿よりも早く亡くなりました。
大好きなので本多忠勝についてだけ書いちゃいますが、忠勝の眼病を患っている描写や、柱にちょっとぶつかったり、戦国最強の武将の老いというものを悲しくも見守りました。
しっかり細かく演じてくださった山田裕貴さんありがとうございます。
平八郎と小平太の平平コンビ、史実でも親友で、康政が館林で亡くなった時、忠勝が馬で館林まで駆けつけたそうです。
老いたこの状態で館林まで・・涙
想像しただけで涙が出てきます(TT)

史実でも8回描き直させた本多忠勝の肖像画。
徳川の敵を睨みつけるためかと思いきや、、殿を睨みつけていた!!
今までも、殿が折れないように、後ろから睨みをきかせて背中を支えていたんですもんね泣
殿を守って戦で死ねなかったから、自分が認める君主であり続けてもらうために、死してなお殿に、そして殿が席を外した後ろから全員にプレッシャーをかけ続ける!
これからこの肖像画を見る目が変わりました、というか見たら泣いてしまうかも!
初期忠勝の「俺は認めん」のセリフ、山田裕貴さんのアドリブだったそうで、素晴らしいですよね。
あれがあって、忠勝と家康の関係性が決まったようなもので、山田さんはあの時の忠勝の気持ちを深く理解しようと、本気で役を生きていたんだなと感激しました。

大河ドラマって、俳優さんたちの成長もすごいと思うんです。
1年を通して役と共に成長し年齢を増し、どんどん貫禄がついていくのが、人が成長する魔法を見ているようで好きなんです。
「どうする家康」の老けメイクは白髪やシワだけでなく、加齢による手の皮が硬くなる感じとかお肌の質感がいいと思うんですよ〜
松潤は老けメイクできるのか?!と思ってましたが、殿もイケメンのままおじいちゃんに化けましたよね。
大河ドラマってスペシャリストが集まって作っているものすごい作品なので、細かいシーン1つとっても、後ろに置かれた調度品とかこだわってて。
“神は細部に宿る”という言葉がありますが、大河ドラマは本当にそれを感じます。

話を本編に戻しますが、今回良かったのは徳川秀忠ウィンくん!
スーパーーーポジティブシンキング!
間に合わなかったから誰からも恨みを買ってない、という視点はなかったです笑
偉大なる凡人・秀忠。
全てが人並み、と割とボロクソに言われてるのに、HAHAHA!って笑えるところが最強w
こういう人が1番強いと思う♡
そしてこの「わっはっは!」と大きく笑うところ、たしかに於愛さまに似てる!
というか、なんかできる気がする!みたいな感じが若い頃の潤殿に似てる。
人質生活も送ってないし、母も父も仲良くそばに居たし、とても素直でおおらかなプリンスに育ったんですね。
康政が言ってたけど、このくらいの歳の殿がどれほど頼りなかったことか!って。
うん、親子だよ親子(^^)
親子といえば、本多正信の息子・本多正純。
扇子を首にぽんぽんする仕草がパパそっくり!
でも彼を育てたのは大久保忠世にぃなので、あー(父親)はなるなって育てたんだろうな笑

自分が握った実権を、あまり恨みを買っていない優しい2代目に継承させる・・。
まさに鎌倉殿でも北条義時がやってたことですね。
これはやはり家康の愛読書が吾妻鏡だからか!
これからの平和な時代には、人の話を聞けるこの素直な優しさが必要なんですよね。
凡人ではなく、父のように偉大であろうとした武田勝頼、今川氏真などは滅びていった。
凡人でいい。ただ、上として責任は取る、そこだけは叩き込む。
これからの新しい世を作るのに、家康が人生の経験がいかんなく発揮されていて嬉しいです。

江戸城

2023.11.13
第43回「関ヶ原の戦い」感想

ついに関ケ原。
オープニングで、家康の過去の大きな戦が走馬灯のように流れましたが、
巻き込まれるしかなかった青年時代、新たな戦の形に涙していた壮年期、自分で選んで戦を起こした中年期と、家康の人生ってずっと戦なんですよね。
この時代の大名の人生は誰しもみんな戦続きだとは思いますが、「戦功者」となったのは実戦経験が圧倒的に多いからですね。

家康と三成のラストシーン、「どうする家康」屈指の名シーンになったと思います。
七之助さんの骨太な石田三成がとても良かった!
ずる賢い官僚タイプの印象が強かった三成ですが、最新の研究では三成のイメージも大きく変わっていますよね。
明智光秀もですが、近年、歴史の敗者のイメージが見直されてきたのは良いことだと思います!

松潤殿が、「なぜ無益な戦を引き起こしたのか?」と三成に聞くと、三成は「自分の中にも戦乱を求める心があり、恐ろしい火種は誰の心にもある。自分にないと思っているのか!」と逆に聞き返します。
そう、ここが家康の矛盾点。
戦のない世をつくりたい、と言って、やっていることは長年戦ばかり。
1600年当時の日本の人口が約1,200万人、現在のだいたい1/10なんです。
関ヶ原の戦いの死者8,000人って、今の感覚でいくと死者80,000人!
これを無益な戦、悲惨な戦と言わずして何を言うのかと思います。
「この悲惨な戦を引き起こしたのは、私であり、あなただ。そして、その乱世を生き延びるあなたこそ戦乱を求むる者。戦なき世などなせぬ。まやかしの夢を語るな」。
こう三成は殿に言い放ちます。
いや、ほんとそうだと思う。
潤殿好きですが、戦慣れしてるからなのか、三河家臣団が好戦的だからなのか、戦になる決断をしちゃうと思っていたのです。
三成に対し、「それでも、わしはやらねばならぬ」と家康は答えました。
戦をし続けて、最期の戦を自分が起こして自分が終わらせる。
それがこの世からすべての戦をなくす、という家康の描いた設計図なのかな。
この家康だからこそ、戦乱の世を終わりにできた、という流れに納得できる答えが個人的にもう少し欲しいところです。

他の武将について!
裏切りではない、戦の勝敗を見極めての行動を取った小早川秀秋。
さまざまな小早川秀秋史上、かっこよさ過去一でしたね!
毛利輝元の適当な総大将感もすごく良かったです!
「お弁当を食べてるから~」の吉川広家もしっかり出てきて、このあと大減封をくらう毛利家‥がんばれ!
内通していたからといって、敵の総大将であり、100万石を超える大大名を家康がそのまま残しておくわけないですよね。
私が毛利輝元だったら、秀頼様を奉じ毛利本軍を率いてガッツリ戦うのに!
悔しい!(関ケ原では西軍応援し隊ですw)

悔しい!といえば茶々さま!
美人が本気で怒るととてつもない迫力!
その茶々と乗り込んだ阿茶局の会談がかっこよかったですね。
前にも書いた気がしますが、どうする家康の女性陣は本当にみんなかっこいいです。
阿茶が釘を差したことが、豊臣家へのお咎めなしに繋がったんでしょうか。
この会談が今後どんな意味を持つのか、気になります。
「あ~、おっかないおなごだわ」な阿茶さま、可愛かった♡

一見、ゲーム映像か!?と思うほどCG?VFX?多用の関ヶ原の戦いでしたが、
今後の歴史ドラマではこっちがスタンダードになるのかな?
私はまだ見慣れませんが、これはこれで面白いのかも。
来週はいよいよ幕府開府ですね。
家臣たちが先に逝ってしまうの、史実だから仕方ないことですが悲しいですね。
潤殿の心中お察しします。

2023.11.05
第42回「天下分け目」感想

伏見城陥落・・
関ケ原の戦いの前夜ですね。
ここを任せられるのは”最も信頼している人物” 彦(鳥居元忠)しかいないし、彦もまた、指名されて間違いなく最高の名誉だったはず。
元忠が「三河武士の鑑」と呼ばれる所以、たっぷり堪能しました。
兵力が徳川方2,000に対し、大阪方25,000という大差なのに、10日間以上も守り抜いた元忠。
徳川1,600~1,800、大阪4万という記録もあります。
これは、元忠軍が勇猛であったのはもちろんですが、伏見城が秀吉が築城した難攻不落の城だったから、というのもプラス要素ですね。
そして千代さま~~~~!!!
元忠の隣に寄り添うときは妻として、戦うときはあの武田信玄と直接やり取りをしていた優れた忍びとして。
最期まで戦う姿、かっこよかったです・・(涙)
「どうする家康」の女性たちは本当にかっこいいですね!

「時が経つほど不利」という小西行長のセリフがありましたが、元忠がここで三成たちを10日間も足止めした功績はとてつもなく大きい!
家康の勝利に大きく貢献しました。
この兵力差でこんなに時間がかかった三成方に対し、「やはり戦は家康か」とつぶやく小早川秀秋の姿。
こういう、知能指数が高く、謀略を巡らせているような小早川秀秋の描かれ方って新鮮じゃないですか!
だいたいオロオロしている気弱な人物像として描かれがちですが、この秀秋には戦国武将みを感じる!
裏切りの準備万端で関ケ原に臨むのね。

どれだけ多くの諸大名たちを味方につけるか・・
書状にて家康は褒美をちらつかせ、三成は家康断罪の言葉ばかり。
この時代、損得勘定で動くのが当然の価値観なので、やっぱり三成に天下は無理なんだなと。(三成ファンだよ!がんばって!)
そもそも、家康を倒した後のことどのくらい具体的に考えているのかな?
秀頼様を中心にした有力大名合議制の政治・・
そんなの愛読書が吾妻鑑なんだから、無理なこと分かってるよね??(それでも西軍応援してる!)
ツッコむ気持ちと応援したい気持ちで、今わたしの感情は不安定ですw
三成!大阪城へバックだ!大阪城で戦うんだ!そこなら絶対に勝てる!
家康大好きですが、関ヶ原は毎年西軍を応援しています!♡

ついに来週は関ヶ原の戦い。
前哨戦に1話、本戦に1話で、この時間のかけ方にとてもありがたく思っています。
福島正則が岐阜城を早々に落としてしまい、「早すぎる!」の声が忠勝から上がりましたが、徳川が参戦しないまま勝ってしまったら元も子もない、という重要なセリフがありました。
そうなんです!
勝手に三成をやっつけられてしまっては意味がない!
家康が三成を倒さなくちゃいけないんです。
三成側からしたら、誰でもいいから家康を倒せればいいんです。
今のこの時点では、徳川が圧倒的に不利な描かれ方ですね。
次回、三成による「どうする家康!?」があるようなので、どこのタイミングでのそのセリフかなと楽しみに一週間待ちます!

今回の紀行にあった養源院についてちょこっと。
元忠たちの亡骸は気の毒なことに、関ヶ原の戦いが終わるまでの間、そのまま放置されていたそうです。
なので、伏見城の床板には自害をした跡や、血の手形がこびりつき、落ちなかったそう。
戦いの後、これを見た家康は、元忠たちの忠義に感激し、彼らを供養するために、養源院など徳川家にゆかりある寺院でこの床板を保存することにしました。
この忠義の証である血の跡を決して誰にも踏まれることのないように、天井にしたそうです。
私も京都で見たことがありますが、歴史の教科書の中の昔話が、数百年前に本当にあったことなんだと急に現実を感じて、震えた記憶があります。
教科書の本の中でもドラマの画面の中でもなく、その目で歴史をリアルを感じることができますよ。
京都に行かれた際は、足を運んでみてくださいね。

井伊直政役の板垣李光人さんが紀行で訪れた伏見城

2023.10.30
第41回「逆襲の三成」感想

家康が罠にかけられたのか、それとも・・
従来では、家康が大戦をしたいために、三成が挙兵するようにあの手この手で挑発し、やっと挙兵してくれた!あとは予定通りにフッフッフッ・・という流れだと思うのですが、今回は逆なのかな?
副題「逆襲の三成」ですもんね。
逆というか、関ケ原の黒幕も茶々さまという。
まさに狸と狐のばかし合い。
阿茶局が茶々を「女狐」と称したのはこのためか!と納得の悪女っぷりでした。
家康に「助けて~」の手紙を送ったのは史実。
殿はすべてお見通しでしょうが、この手紙、北ノ庄城から届いたお市様からの手紙ともリンクして、殿もあんな笑い方になるよね。茶々さま怖いわぁ。

「うつして治る病なら私にうつせ!」
三成が吉継のお茶を飲み干すエピソードが、挙兵の決め手!となったのがすごく良かったです。
ここの三成かっこいいじゃん!(先週までイライラさせられっぱなしだったんですが笑)
これは説得にいった吉継が落ちるのもうなずけます。
こういう熱いところとか、友を大切にしているところとかを武断派のみなさんにも見せたら良かったんじゃない?
治部は本当に損な性格なんでしょうね・・

徳川方は、三成と大谷刑部吉継の2人だけの小規模な反乱かと思いきや、毛利に宇喜多と大規模なことが判明。
今までは戦に消極的に描かれがちな毛利ですが、今回はやる気満々。
全員が家康の横暴に怒って団結しているような雰囲気ですが、実際はどうだったんだろう?
圧倒的な石高を誇る徳川に対して、三成を中心としてその他大名が集結するという構図は・・三成があまりに格下すぎてやはり無理があったのではと思います。
廊下を歩く場面でも、毛利の前を歩いちゃってるからね三成(^^;)
まずそういうところ気づいてほしい笑

慕ってくるものにはとことん甘く、従わないものには徹底的に厳しく、と言われる家康ですが、これは信長と秀吉のやり方を学び、しっかり身につけて政治をしているなと。
畳をトントンなんて、あのプレッシャーのかけ方は信長様そのものでしたよね!
長く生きているからこそできること、出せる引き出しが家康にはたくさんあって、その実績×柔軟さが家康のカリスマたる所以かと。
対して三成は、家康よりずっと若く、秀吉の下でしか働いたことのないひたすら真っすぐで不器用な武将。
こうも頭でっかちじゃ、人の意見を聞くことも、臨機応変に動くこともできないですよね。
人として、家康に大きく負けていると思うのです。
この期に及んで、家康を取り除けば豊臣の正しい政ができると信じている。
なんて青臭い、理想論ばっかり語っていることか。
これでは勝てるわけがない。
そんな三成が好きなんです!←え?え?え?

歴史が好きと自覚してから早35年・・
幾度となく聞かれた「好きな武将はだれ?」という質問に「徳川家康と石田三成!」と答えてきた私。
「え?敵じゃん?なんで?」と毎回聞かれ、相対する2人について語ってきましたが、似ているところもあるんですよね。
敵味方と別れてしまいましたが、最初は仲悪くなかったし、家康が三成を評価していたという資料もあり、家康は三成の能力を本当にかっていたのではと思います。
ドラマ内でセリフがあった、上杉討伐が終わったら政務に復帰というのは、案外本心だったんじゃないかなと。
今回ドラマで大谷隊に入れたいと言っていた三成の三男は、関ケ原の後に家康が命を助けています。
家康も三成のことを、ただの敵ではなく、共に時代を動かせる、そこまではなくても、形が変わればもっと良い関係で時代を作れたと考えていたのかな。
何回か前の感想で、江戸幕府の仕組み作りに徳川配下として三成欲しかった!というようなことを書いたのですが、何かが少しズレれば、そういう世界線もあったのかなと思います。

まもなく11月に入り、大河ドラマも佳境です。
終盤は、大河を一年間見続けた人だけが得られるご褒美といいますか、様々な伏線が回収され、それぞれの成長を感じられ、たくさんの人の物語の終着地を覗けます。
これがあったからこうなったんだ、あれが繋がって今になっているんだ、という答え合わせができ、きっと清々しい気持ちになると思います。
一年間という長い時間を使って、一人の人の人生が丁寧に描かれてきたからこそ分かる、人間の一生の深さ。
これぞ大河ドラマの楽しみ。
撮影もクランクアップし、私たちもまもなく家康の人生の最後を見ることになります。
その前に、来週は鳥居元忠という徳川四天王ではないけれど、徳川家臣団において後世までその名が煌めく家康の幼なじみの最期を見ることになるでしょう。
彦(元忠)をとおして、徳川はなぜ強かったのか、江戸幕府はなぜ250年も続いたのかというのが分かることと思います。
長く生きた家康は、誰よりも多く家臣を見送ってきたんですよね。
その悲しみが、誰よりも強く平和な世を望んだ、そんな徳川家康の人生にきっと学ぶことは多くあるはず!
大河完走を目指してる人は一緒にこのままどっぷり浸かりましょう。
前半で離脱してしまった人、もう終わりだし今更だけど見てみようかなって人、まもなく関ケ原の戦いです。
今からでも全然遅くない!
「どうする家康」の世界へどうぞ!

三成が蟄居していた佐和山城跡

2023.10.22
第40回「天下人家康」感想

いやぁ〜こういう人いるよね!って終始思ってしまった石田治部少輔三成。
違う意見を言っただけなのに、人格否定とまで捉えちゃうタイプ。
三成ディベート得意そうなのに・・
ただ、茶々からの「家康は平気で嘘をつく」は効いた、かなり。

家康が本気で心配して言ったことも、すでに敵認定しちゃってるから、何を言っても聞く耳持たず。
私からしたら、いるいるー!ほんとめんどくさ、、いえ、難儀な性格だなと思って見てました。
でも、こういう三成タイプの人からしたら、家康みたいな柔軟性のあるタイプは嫌いなんでしょうね。
臨機応変って、いいことと捉えるか、悪いことと捉えるかの違いみたいな。
柔軟性の極みだったのが殿下だけど、三成は秀吉のそんな時代を知らないのか。
いや、そんな訳ないと思うんだけどなー

飢餓状態で異国の敵地で戦ってきた諸将に対し、茶会はない、、うん。ない。
ここのシーン、三成の人となりがとても分かりやすかったですね。
この茶会話は後世の創作と言われていますが、これを作った江戸期の人お見事!と思います。
三成は三成なりに労おうとしているし、当時茶会は本当に名誉なことだから最大のもてなしなんですよね。
でも、そうであっても、今ここで三成が言うべき言葉じゃないし、ここで言うべきはそれじゃない。
秀吉だったらみんなの前で大げさに泣きに泣いて、手をついて謝ったと思う。
ムロツヨシさんの演技も相まって、素晴らしい演技のお涙シーンを演じただろうな。秀吉ならね。

寧々が酒でも酌み交わせと言ったとき、「詫びを入れる?何故、私が。」と言った三成。
心底驚いた表情で、ここの三成すごく三成だった!←語彙力
怒っているでも悲しんでいるわけでもなくて、本当にピンときてない顔してた!
道理だけで政はできぬと言った利家も、昔はまぁグレててひどかったもんね笑
殿もなぜわしが謝らなければならぬ!って言ってた!一向一揆の時!
これはもちろん性格もありますが、ひたすら三成が若いということなんでしょうか。

寧々さまのセリフ「あのこはまっすぐすぎる」「世の中は歪んでおるものなのに」。
このセリフ、すごく良かった。刺さった。
「どうする家康」の世界、そう、歪んでるんだ。
歪んだ世の中の頂点に立ったのが秀吉。
それは誰よりも歪んでいたから。
初登場から死去までの10ヶ月、私たち視聴者はそれを見続けましたもんね。
誰よりもサイコパスで、でも魅力的な不思議な男・秀吉。
秀吉のそれはしなやかさとも言え、嵐が来ても柳のように受け流し、形を変え、ポキリと折れない強さ。

信長様は歪んでいたのかな?
まっすぐだったとも思うし、愛情は歪んでいたと思える。
でも、信長様はやっぱりまっすぐで、そんな自分に合わせて歪んだ世の中を変えようとしてたように感じます。
本能寺の前、家康に自分を殺してみろと言っていた頃、歪んだ世の中に苦しんでいたのを思い出しました。

家康はこの点、まっすぐすぎて、頑固すぎて、若い頃は正面からぶつかってばかり。
すぐ熱くなって頭に血が上り、すぐに立ち上がる。
今日の三成は昔の殿を見ているようでしたよ。
昔の忠勝のようでも、三河家臣団のようでもあったけどね。
そういう治部に対して、家康は本当に助けたいと思ってたんだと思います。
若い頃のわしもこんな感じだったなーって親心のような感じだったかな。
でも、それを育てるなんて悠長なことをしていたら天下がまた乱れてしまう。
それだけは絶対に避けたい。
そろそろというか、やっとというか、殿はさすがに自分の番だと受け入れたよう。
薬を煎じ、一服のシーン・・
ここで天下取りを決意ですね。

オープニングのショートアニメが兎から狸へ、でしたが、まだ今回では狸になりきってないと思うんです。
でも、今回がその副題だったってことは、今日から本格的に狸か。
大狸になるのは来週、関ヶ原の下準備においてだと思ってたんですが、婚姻の下りは明らかですもんね。
殿が本多正信っぽくなってた笑
ちなみに、私の家康好きは、この前田利家死去から三成挙兵までの数ヶ月が最高潮!
ふふふ治部よ、勝敗は戦う前から決まってるのよ。
三成が挙兵した報を聞いて、潤殿よ、高らかに笑ってほしい!!!
来週楽しみだな〜♡

こんなこと書いてますが、私は石田三成が大好きです笑
紀行に出てきた生家跡地に建つ石田会館も、三献茶の舞台・観音寺も巡っております。
三成ってイヤなタイプ~という感じで書いてしまいましたが、そのまっすぐなところが好きなのです。
歴史好きとして、命を燃やした戦国武将たち、みんな好きです!

最後になっちゃったけど、これは書きたい!
序盤、五大老の戦闘力ステータスみたいなのがババンと出てきたじゃないですか。
名前と石高ですが、毛利も上杉も大大名ですが、殿ってこの時点でぶっちぎりの石高なんですね!
毛利と上杉を足しても家康には届かないんだ!
私の中で五大老は、前田利家がレジェンド枠だったのですが、力はやっぱり家康なんだ・・
そして五大老って、改めて見ると、亡くなった利家以外の全員が西軍なんですね。

佐和山城跡に建つ石田三成公像

2023.10.15
第39回「太閤、くたばる」感想

いやぁ・・秀吉すばらしいの言葉に尽きます。
ムロツヨシさんすばらしい!圧巻でした。
昔から私は秀吉が好きなのですが、晩年は薬として服用していた水銀毒などで痴呆だったのではと思っていたのです。
でも、「どうする家康」ではまったく耄碌しておらず、我が子秀頼の行く末だけを案じてすべて放り出したパターンに。
なるほど!と、これがストンと腑に落ちたんです!
豊臣は自分一代のみの天下と分かっていたら、あとはどうでもいい、どうにでもなれ!という気にもなる、うん。
民のため、世の安寧なんてどうでもいいと秀吉は言っていましたが、このなんでも欲しがる我儘な秀吉、自分以外のことは本来どうでもいいって思ってたよね。
そりゃそうだわってすごく納得してしまいました。

そもそも、信長は家康に後を継いで欲しがっていたと思っていた秀吉なら、後は家康がどうにかしてくれる、どうにかすべき、と考えていてもおかしくないなと。
「こんなメチャクチャにして放り出すのか!」
「なーんもかんも放り投げて、わしはくたばる。あとは、おめえがどうにかせえ。」
開き直ったし!笑
唐と朝鮮を怒らせて、秀次事件(あると思っていたので飛ばされてちょっとショック)、国内外めちゃくちゃで丸投げってひどいわー
家康に対するひどい裏切り、あるいは甘え。

うん、甘えかな。

咳込んで、息絶えたフリ・・本当にこのタイミングで死んだかと思った!
それは猿芝居。もう完全に秀吉劇場ですね。


「大嫌いじゃ!」
「わしは、おめえさんが好きだったにー」。
これはお互い本音かな。
ずっと昔、秀吉(藤吉郎時代)と話した殿は、「あいつが大嫌いじゃ」って言ってましたもんね。
本気で怒ってくれる人、信長以外にいなかったんだろうな。
秀吉は敵だとしても、家康のこと「友」だと思ってたんだろうな。
秀吉の孤独がこういうセリフでも感じられて切ないです。

この対峙のシーン、監督に許可をもらい、家で2人で稽古したとムロさんがSNSで言っていました。
殿と信長、殿と数正・・と息を飲んだ大切なシーンはいくつかありますが、今回が間違いなくNo.1!
二人の息遣いが耳元で聞こえるような緊迫した対峙。
本音と建前を使い分け、ところどころ演技もはさみながら、でもそれがお互い深いところでお互いの良さを分かり合っているような、男同士の悪友っぽいイタズラさもあり。


ここでちょっと思ったのが、殿は声が若いのかも!
落ち着いた演技のときは気にならなかったのですが、見た目は老齢に差し掛かっているにも関わらず、興奮した時の声が若かった。
こういうところ、まだまだ演技の訓練で変わるはず!
まだ伸びしろがある、これぞ末恐ろしい嵐の末っ子です。

今回は秀吉の死と酒井忠次の死が対比のように描かれました。
徳川四天王と呼ばれ、殿を幼い頃から支えてきた忠次は、殿のために甲冑を着、使命感でいっぱいの中、息を引き取りました。
これを止めず、手を貸した奥方・トヨさんも素晴らしい。
忠次は大満足の人生だったに違いありません。
それに引き換え秀吉は、茶々から最高の復讐をされ、どこまで聞こえていたか分かりませんが失意の中死んでいった・・
やはり茶々様、美しく恐ろしいわ・・
あなたの子ではなく私の子。
天下は織田家のものだ。
でも秀吉が息を引き取っていると気づくと、抱きしめ思わず涙が。
憎いけれど、自分を庇護してくれ、寄り添った夫婦としての情はあるんだろうな。
この茶々の二面性が、恐ろしくも面白いものとなっています。

茶々ほど波乱万丈な戦国の女性はいないと思います。
この危うさが茶々の魅力のひとつなので、応援したい気持ちも。
信長の、織田の血を引く、秀吉の妻。
家康の敵となるのか、、時代すべてが敵なのか。
「どうする家康」のキャストさんで、スピンオフ希望♡

秀吉が亡くなった伏見城。
露と落ち 露と消えにし我が身かな
なにわのことは 夢のまた夢

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